その中の最大の宿敵、死。

僕は未だに回りの人間(ものすごく近い存在の人)が誰一人と死んでいない。
死して屍拾うものなし、と、鬼平も言っているが未だ拾ったことすらない。
正確に言うと身近な人が死の危険にさらされたことすらない。
何とも死と無縁な。
しかし、僕は声を大にして言えることがある。
僕は一度幽体離脱したことがあると言うことだ。
それは小学校二年生の秋だった。
家の前で車に轢かれた。
轢かれた瞬間から運転手が僕にかけより大丈夫?と聞くまでの間の記憶は全て上空からそれらを見ている画しかないのである。
なぜか、もう一人の自分が目の前で車に巻き込まれている。
死ぬかと思った。
ちなみに股が裂けた。
股には縫い後があるが、それを見た者は医者と看護婦と他二名ほどいる。たまに痒くなる。

死って言うのは身近なもので遠いもの。
人はいつ死ぬかわからないけど、死にたいなどとぬかすのは良くは無い。
死にたくないのに死んでいく人はごまんといるのに、死ぬ奴はもったいない。
死んだら、はい、そこまでよ。
死と言うものを体験したことが無いからこんなこと言えるのかもしれない。
この年で死は未体験ゾーンだから、死を間近に見たらどうなるのか?
不安だ。

今日弟が入院した。
僕のバイト先のスキー場でジャンプ台でミスって背中から落ちて救急車で病院に運ばれていった。その時僕は女子トイレの掃除をしていた。
バイト先の内線でお呼び出しがかかり、腰をやったと聞いて一瞬、下半身麻痺と言う言葉が頭をさえぎった。頭の中は真っ白。
しかし、話を聞いてみると足や手は動いているらしいので、その考えはすぐさま否定された。
いろいろあって、僕が病院に付き添いで行った。
弟に会い、けろっとしていたので一安心。
レントゲンや検査の結果、背骨の圧迫骨折で即入院決定。
僕は内心少しワクワクしていた。

家に帰りホッとして、恋人と電話していたら、安心したせいか、男泣き2005。
家族のせいで泣いたのはきっと中学生ブリくらいだったろう。
この世でただ一人血肉を分け合った兄弟が危険にさらされると思うとやられてしまった。

でも、寝てりゃー治るから一安心だ。

明日は弟の仇討ち滑りに行こうっと。